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生素材活用法6: 視読 

前回記事「生素材活用法5:チャンクか単語か」では、長期的な視野に立って速読力や読解に活きる語彙力をつけるため、単語単位にせよチャンク単位にせよ、自分の中に構築されつつある「英語データベースの巨大化」に向けて、いわゆる出題範囲のないネイティブスピーカー向けの生素材を読み続けてみませんか?という記事を書きました。今日はこのチャンクの話題から発展して、英文を速読するときの「視読」についてまとめてみたいと思います。怪しい教材の宣伝文句のようにならないよう、がんばります(笑)。

TOEFLやTOEICなどの資格対策クラスで学生と一緒に英文を速読するとき「単語から単語へ、チャンクからチャンクへ。飛び石のうえをジャンプしていくように英文の上に目を置いていこう」と言うことがあります。実際、自分が「速く読もう」と意識して英文を読む時にしている目の動きを表現すると、これに近い状態になっていると思うんですね。声に出して1つ1つの単語に丁寧に出会っていくのが「音読」であれば、この英文の読み方は声に出さない「黙読」のひとつである「視読」と言えるでしょう。黙読にもその目的に応じて精読・速読があり、また速読の中にも情報をすくいとるつもりで読む「skimming」や、文中にキーワードを見つけるつもりで読む「scanning」といったものがありますが、私の中ではここに「視読」というカテゴリーがあるようです。前回記事では緩急をつけた英文の読み方を電車に例えて「特急運行」「徐行運行」と表現しましたが、私が「速く読もう」と意識して英文を読む時、ベースになっている読み方はこの「視読」で、「視読レール」の上を走る電車が特急運行になったり徐行したりしている感覚です。

音読の効用は広く認知されており、私も音読のない英語学習はありえないと思っています。現在、担当している企業研修のクラスでも TOEIC Part 7 のパッセージ や Part 5 の英文すべてを一緒に音読しています。声に出して1つ1つの単語に丁寧に出会い、単語や構文をその背景ごと意識して、カラダを使って英文理解するのに音読は欠かせません。しかし、ときにこの「音読モード」が速読の邪魔をすることがあります。人間の目が単語を目にしたとき、長期記憶のデータとその単語を照合、単語を頭の中で一度発音し(subvocalization)、意味にたどり着くそうですから (参考文献:「音読」こそがすべての基本 ―音読指導で生徒の英語力を向上させるためのQ&A)、目にした単語の「音」が頭に浮かぶのはある程度仕方がない。でも「音読モード」のまま速読しようとすると、読解スピードは音読のスピードを超えられない。これに関連した記事を以前書いたこともありましたが、(「音読と黙読のスピードは同じか(「英会話の正体」山本大)」)口が回る速さを超えられない状態を「音読ブレーキ」と表現してもいいかもしれません。速読するぞ!と思った時はこの音読ブレーキを外す、口ではなく眼の筋肉を使う「視読」で英文の上に眼を置いていくことを意識する、意識の中心は内容語(文法的な機能はほとんどもたず、主として語彙的意味を表す語)、ただし時制表現には最大の注意を払う、といったことがポイントになると思います。

では以下の記事を「視読」してみて下さい。The New York Time NATIONAL BRIEFING WESTから
“California: Suit That Called Whales Slaves Is Dismissed” です。これはTwitterでフォローしている、@NYTNational というアカウントから読んだ記事です。@nytimesworld の国内版ですね。84 語ですから20~30秒で速読したいところです。ではどうぞ!

A federal judge has dismissed a lawsuit by People for the Ethical Treatment of Animals seeking to grant constitutional protection against slavery to orcas at SeaWorld parks. Judge Jeffrey Miller of United States District Court issued his decision on Wednesday after hearing arguments in San Diego from both sides. SeaWorld called the lawsuit baseless and denied any mistreatment. The suit named five whales as plaintiffs. PETA says the wild-captured orcas are enslaved by SeaWorld because they are held in tanks and forced to perform. (84 words)

いかがでしたか?私はシーワールドで飼われているシャチやイルカの健気さを思うとグッとこみあげてくるものがあるので、この記事を読んで複雑な気持ちになりました。私が速読した際、一度に視野に入れたチャンクの単位は以下のようになっていたと思います。(スラッシュを入れたのでレイアウト上では不自然に見えるかもしれません。)各チャンクの中心に目の焦点を置くつもりで、その前後は周辺視野に入っている感覚。時制や数の表現の部分では「徐行」、大文字で始まる固有名詞が来ると「急行」でした。ただしTOEICなど問題に答える目的で速読する場合は固有名詞が解答のヒントを握ることが多いので、その部分では意識を高めています。

A federal judge / has dismissed a lawsuit / by People for the Ethical Treatment of Animals / seeking to grant / constitutional protection / against slavery / to orcas at SeaWorld parks. / Judge Jeffrey Miller / of United States District Court / issued his decision / on Wednesday / after hearing arguments / in San Diego / from both sides. / SeaWorld called the lawsuit / baseless / and denied any mistreatment. / The suit named / five whales / as plaintiffs. / PETA says / the wild-captured orcas / are enslaved / by SeaWorld / because they are held in tanks / and forced to perform.

生素材を使ったリーディング練習であれば、速読したあとはしっかり精読・音読されるといいですね。今回の生素材にも「データベースの巨大化」につながる語彙や定型表現がありましたね。例えば以下のような。

1) dismissed a lawsuit 2) protection against 3) issued his decision 4) from both sides  5) called ... baseless 

ぜひ英英辞典等を活用して、意味を確認してみてください。生素材はネットに繋がる環境で環境さえあれば、気軽に・何時でも読めるのがいいところ。また1つの素材でいろいろなトレーニングができるはず。今日のような「視読」、精読したうえでの「ボキャビル」、仕上げの「音読」、覚えたフレーズを使った「ライティング練習」と様々に活用できます。ぜひ生素材を活用したトレーニングを英語学習メニューに加えてみてください。

無題
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生素材活用法5: チャンクか単語か

前回記事「生素材活用法4: 時制スイッチの切り替え」では、電車のポイント切り替えのように、アタマの中の時間軸をずらしたり切り替えたりしつつ、時制を強く意識しながら短い生素材を速読するトレーニングについて書きました。「生素材活用法5」のテーマ自体は決まっていたのですが、自分の中で考えがまとまらないまま2週間が過ぎ。。。でもこの辺で一回考えを整理したいと思います。テーマは「速読で意識するのはチャンクか単語か」です。このテーマについて考え始めたのは、「よく使われる表現のチャンク(=かたまり)を知っていればいるほど先の予測がつきやすく、英文を速く読めるのではないか。であれば、できるだけ多くの定番チャンクを暗唱・暗記すれば速読力がアップするのではないか」といった趣旨のブログ記事を読んでからでした。これを読んだ最初のリアクションは「ん?そうかなぁ」でした。自分自身は、純粋に読解力アップの目的で定番表現やコロケーション(連語,語の配列,語句の連結。相性のいい単語同士やその並び方を指す)を暗記したというよりは、大量の英文に接するうちにチャンクやコロケ-ションのデータベースがなんとなく大きくなってきたと思っているので、「定番チャンクをたくさん知っている=速く読める」という発想がなかったのかもしれません。

「定番チャンクをたくさん知っている=速く読める」状態とは、ある英文の一部を目にしたときに、自分の記憶倉庫にあるデータと、その瞬間に目にしている英単語のかたまり(チャンク)の照合・確認作業が、速くかつ正確に行われていることに意味するはずです。例えば「increase our visibility」というチャンクを目にしたとき、自分のアタマにある英語データベースにこのデータがチャンクとして格納されていればそれと照合し、「検索結果:認知度を上げる」となり、意味にたどり着くわけですよね。でももしデータそのものが存在しなければ「検索結果:0件」となり、その検索作業時間はムダになるわけです。つまり検索をかけてヒットすればいいが、元データそのものが存在しなければアウト。よって精度の高い検索を行うには、データベースを巨大にするしかないわけです。使われる語彙や表現が限定され、その傾向が安定している TOEIC に出てくるパッセージなどの場合は、データベースをどの程度まで大きくしたらいいかの目安がはっきりしているので、頻出表現やコロケーションを暗記する意味は大きいでしょう。「検索 → 結果がヒット → 意味が分かる」を繰り返して読解の労力と時間をセーブするメリットは、特に初級者・中級者の場合はあると思います。英文を目で追いながら「あ、これ知ってる。見たことある。“認知度を上げる”って意味だ。」「で次は。。。ああ、これもなんとなく分かる。”地域市場”でしょ。」と確認しながら、単なる果てしない英単語の羅列が、まとまった意味のかたまりの連続に変換されていくわけですね。

では上級者、あるいは200 wpm (1分間に読める語数が200語)以上といった速読力を実現する場合はこれでいいでしょうか。自分の経験だけでは説得力に欠けるのですが、1つの例として私が「速く読もう」と意識して英文を読む時の感覚を再現してみます。まずチャンクはほぼ意識していません。アイススケートでもするように英文の上に目を走らせながら、内容語(文法的な機能はほとんどもたず、主として語彙的意味を表す語)を中心に1つ1つの単語にすばやく目を移していきます。単語が目に入った瞬間に、画像というか「イメージ」に置き換えていきます。次にどんな単語が来るかといった予想・予測などはせず(というかする余裕がなく)、どんどん目を左から右に移動させていきます。もちろん時制など、内容を大きく左右する部分はスピードを落として「徐行運転」に切り替えますが、それ以外は「特急運行」です。その意味で「どの部分で徐行すべきかわかっていること」は大切かもしれません。またチャンクに関しては、意識しないまでも結果として「意味のかたまり」と認識しているかもしれません。これを読んでくださっている皆さんはいつもどんな「運行」をされているのでしょうか。以下の生素材を「速く読もう」と意識しつつ読んでみてください。2012年 2月3日付けTHE WALL STREET JOURNAL. から S&P 500′s Booming Start Brings Back Memories Of 1987 です。

S&P’s Index guru Howard Silverblatt sent a quick factoid that got our attention: The S&P 500 has jumped 6.9% in 2012, its best start to a year since 1987.And we all know what happened in 1987…But as stocks keep climbing, its worth looking at trading volume. Friday’s surge was accompanied by the largest volume day of the year and biggest amount since Dec. 16.About 4.56 billion shares traded hands in NYSE composite volume on Friday, exceeding this year’s average of 3.96 billion. Higher volume moves tend to suggest more conviction behind market action. More volume on the up days represents more fodder for the bulls.“The market’s continued ability to bounce back from any attempted pullback is clearly early bull market price action,” says Mark Arbeter of S&P, which “suggests further gains in the first half of 2012.” (136 words)

時制を意識しつつダッシュで読めましたか。その際、どの程度チャンクに注意を払いましたか。それとも単語から単語に目を移していく感覚でしたか。徐行と急行のメリハリはいかがでしたか。振り返ってみれば定番表現やコロケーションに相当するチャンクもありましたね。例えば以下のような。

1) got our attention 我々の注意を引いた・我々が注目した
2) keep climbing  上昇し続ける
3) its worth looking at  注視する価値・意味がある
4) was accompanied by  ~を伴った・~とともに起こった
5) exceeding this year’s average of  今年の平均値を超えて
6) bounce back from  反発する・跳ね上がる

 
生素材のいいところはたくさんあると思いますが、誤解を恐れずに言えばそのひとつは「出題範囲がないこと」だと個人的に思っています。テスト対策問題集に出てくる英文であれば、緻密に分析されたテストの出題傾向・出題範囲を反映した語彙や表現がふんだんに使用されているので、そこで出会う文書は「頻出表現の宝庫」でしょう。それを中心に学びたい方・学ぶ必要のある方には、テスト対策用教材が最も効率的です。しかしネイティブスピーカー向けに書かれた英文であれば、トピック特有の特徴はあっても出題範囲は「ほぼ全部」。ある意味、手加減なしです。長期的な視野に立って、速読力や読解に活きる語彙力をつけることを目指す方は、英語を母国語とする人のために書かれた生素材を読み続けて「データベースの巨大化」をすすめてみてはいかがでしょうか。やはり言語を学んでいる以上、それを母国語とする人のために書かれた文章を読めるスキルを身につけることが、われわれ英語学習者が目指すべきところではないでしょうか。チャンクを意識する・意識しないにかかわらず、1つ1つの単語に正確に・速く・かつ柔軟に対処することが、結局は「ある程度のスピードを維持しつつ英文を読める」という結果につながると思います。それには生素材を活用して大量のインプットを確保しつつ、その過程で語彙・コロケーション・構文のデータベースを大きくし続けよう、というのが今回の記事のまとめになるでしょうか。みなさんは日頃、どんなふうに英文にアプローチされていますか?ご意見・ご感想をお待ちしております。

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生素材活用法4: 時制スイッチの切り替え

前回記事「生素材活用法3: 時制を意識し全速力で」では、時制を意識の中心に置きつつ、短い記事をダッシュで読むトレーニングをご提案しました。タイムプレッシャーのもと、知らない単語がちらほら登場してくるような英文を読む際には、どうしても単語の「意味」の方に気を取られて、時制に対する注意はおろそかになりがちではないでしょうか。規則変化する動詞の過去形は語尾に –ed がつきますが、例えば call と called ではパッセージの中で目にした時には視覚的な違いが大きくないですし、その前後にややこしい単語があってそちらに気を取られていたりすると、called を call に読み違えてしまうといったことが(知らずに)起きているかもしれません。

英文を構成する言葉には「機能語」と「内容語」があるといわれています。機能語とは、前置詞など文法的機能のみを主として果たし、語彙的意味をもたない語。内容語とは、名詞・動詞・形容詞など文法的な機能はほとんどもたず、主として語彙的意味を表す語(出典:Weblio 辞書)。ざっくり言えば、「機能語=文法」・「内容語=意味」というイメージでしょうか。われわれ英語学習者が英文を読むとき、いちいち「これは機能語」・「これは内容語」と意識してはいないはず。でも考えてみると、速読せざるを得ない状況下で、優先的に注意を向けるのはやはり「内容語=意味機能を担当」だろうと思います。そして前置詞、接続詞、助詞、冠詞、関係詞といった「機能語=文法機能を担当」は目に入れる程度になりがち。もちろん、こうした機能語が目に入ったあとでその単語が果たす文法的な役割を瞬時に判断しているはずですが、この文法的な判断がどこまで正確なのか。

時制がやっかいなのは形のうえで「機能語=文法」であること、つまり規則変化する動詞の過去形語尾に –ed が付くだけ、現在完了形と過去完了形の違いはhave (+ 過去分詞) とhad (+ 過去分詞)の違いだけ、など視覚的なインパクトが小さいので、英文を急いで読んでいる時にはつい見落としがちになるところだろうと思います。かといっていつまでも「 have (+ 過去分詞) だろうが had (+ 過去分詞)だろうが気にしないもんね~」という読み方では、読解の精度向上は期待できません。時制を意識する読み方がキツい(それゆえ面倒くさい)のは、アマタの中の時間軸をずらしたり、切り替えたりする忙しさに原因があるのでないでしょうか。この時系列の切り替え作業をここでは「時制スイッチの切り替え」と呼ぶことにします。鉄道のポイント切り替え(あの、突如ガッタンとなる振動の原因)のようなイメージでしょうか。

以下は The New York Times World Briefing から China: Dissident Author Flees to U.S. という記事の転載です。本文だけだと 141 語。TOEIC で言うとPart 6 の標準的な長さ、Part 7 の前半に出てくる短めの Single passage の長さです。記事の日付は2012年1月18日。時制を意識の中心に置きつつ、ダッシュでどうぞ!


Yu Jie, a prominent writer of 11 books and a critic of the Chinese Communist Party, said Wednesday in a news conference in Washington that he and his family had left China on Jan. 11 after more than a year of harassment and house arrest. Mr. Yu said his ordeal began Oct. 13, 2010, when he was placed under house arrest after the announcement that his close friend Liu Xiaobo, an imprisoned writer, had won the 2010 Nobel Peace Prize. That December, Mr. Yu said, he was detained for four days and tortured nearly to death. He said security officers criticized him for planning to write a biography of Mr. Liu and for writing “China’s Best Actor: Wen Jiabao,” a scathing critique of the prime minister. Mr. Yu was then kept under house arrest, with a travel ban, until this month. (141 words)

記事の冒頭、パッセージの「顔見せ部分」で Yu Jie 氏が水曜日の記者会見で、1月11日に家族とともに中国から出国した(= had left China on Jan. 11) と伝えています。Yu Jie 氏がワシントンでの記者会見で話したのが水曜日(= 2012年1月18日)ですから、それより過去の1月11日に起こった、家族とともに出国という出来事を過去完了で表現しています。現在完了形と違い、過去完了は過去の一時点を表す表現(例: on Jan. 11)を伴うことができます。その後 after more than a year of harassment and house arrest と続きますが、ここでみなさんの「時制スイッチ」は再度パチッと切り替わりましたか?after … に続く部分は、それより前の部分で我々が読んでいる出来事より「過去」に起こっていますよね。例えば I took a shower after supper. と言えばシャワーを浴びた行為より「前に(過去に)」夕食を食べていたことがわかります。英文を読む時は左から右で一方通行で読んでいきますから(戻り読みをしている方はいますぐ一方通行読みに切り替える!)、after supper が目に入ったら「夕飯の後でね」とアタマの中で時系列を1つ過去にさかのぼることになります。この「時制スイッチの切り替え」は、語尾の -ed や have や had の違いだけでなく、after や before、since のような前置詞(接続詞でもある)もその合図となります。今回の記事では Yu Jie 氏が2012年1月11日に中国を出国する以前、1年以上にわたり当局の厳しい監視の下に置かれていたことが after で効率よく表現されています。こうした時間の流れをイメージしつつ、アタマの中の時制スイッチを上手に切り替えながら英文を読んでいきたいものです。では以下の部分の時系列をおさらい。1) から 4) の出来事はどんな順番で起こったでしょうか?


1) Mr. Yu said 2) his ordeal began Oct. 13, 2010, 3) when he was placed under house arrest 4) after the announcement that his close friend Liu Xiaobo, an imprisoned writer, had won the 2010 Nobel Peace Prize.

より現在に近い ← より過去という順番で並べると、1) ← 2) & 3) ← 4) です。 1) にある said と 2) にある began は同じ過去形で時差がないように見えますが、Mr. Yu は2012年1月18日の記者会見でこの発言をしているという場面がしっかり想像できていれば、began のあとに Oct. 13, 2010 を読んだ時点で「ああ、said より過去の話になっている」と時制スイッチが1つ過去にさかのぼるはず。その後 when が続きますが、時制スイッチが Oct. 13, 2010 にしっかりとシフトしていれば、また Oct. 13, 2010 のあとにあるカンマに気がつけば、ここに意味の区切れがあるので、それ以下は追加情報が続くと予想して「お、when 以下は Oct. 13, 2010 をより詳しく説明しているだけか」と分かります。その後 after が目に入った瞬間に「おお、after があるから今から読む after に続く部分は Oct. 13, 2010 よりも過去の出来事だ」とまたまた時制スイッチをもう一段階過去へシフト、つまり「the announcement の後でね」と。that 以下の部分はこの the announcement の内容ですから、当然 2) のbegan や 3) の was placed より過去にさかのぼっているわけで、his close friend Liu Xiaobo, … , had won the 2010 Nobel Peace Prize. と過去完了形で書かれても納得できます。

こうした「時制スイッチの切り替え」は慣れないうちは脳への負担が大きく、あまり長い文章で練習しようとすると、とたんに嫌になってしまうはず。そこで初めのうちは 100-200 語程度の短い「生素材」の活用をお勧めします。今回ご紹介した The New York Times World Briefing は毎回その程度の長さですし、ニュース記事ですから時制の切り替わりも多く、「時制スイッチの切り替え」トレーニングには適していると思います。ぜひお試しください。

<備考> The New York Times は毎月20記事までは無料購読出来ますが、それ以上の記事閲覧は有料になります(毎月 20 本までは無料で閲覧可能、21 本目を閲覧しようとすると課金の告知が表示)。Facebook やTwitter 経由の記事閲覧には現在のところ(2012年1月19日)この制限はかかっていないようですので、Facebook かTwitter から記事の更新をチェックされることをお勧めします。私は Twitterで @nytimesworld と @nytopinion の2つのアカウントをフォローして、流れてくる tweet からその記事に飛んでいます。いまのところ無料で読めていますので、興味のある方はぜひお試しください。

Mr. Yu Jie
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生素材活用法3: 時制を意識し全速力で

前回記事「生素材活用法2: 情報密度に負けないスキル(生素材活用法(2)より改題)」では、単語やフレーズが表す意味の密度が高いセンテンスで構成された「生素材」を丁寧に・かつ正確に読む練習を続けることで、ある程度の速さを保ちながらも「粗い」読みにならない読解力をつける、というテーマでお話しました。この記事に頂いたコメントの中に「集中し全速力で意味を理解しながら読む事を前提とすれば、前回の World Briefing 記事の様なもの(= "Russia: Election Chief Will Not Resign”)は、常に文中の時制に意識し、時間の流れを把握しながら意味を拾って読む為の加圧トレーニングになりますので非常に効果的です。」 というご意見がありました。実際に起こった出来事をレポートするのがニュース記事ですから、出来事が起こった順番を正しく理解することは、記事の内容を正しく理解する大前提になるはずですよね。今回は時制を意識しつつも速く・正確に読むトレーニングにつながる「生素材」の活用法について考えてみたいと思います。以下の記事を「できるだけ速く・正確に」読んでみて下さい。Politico 掲載の "White House leaves press pool behind again” からの抜粋です。


President Barack Obama again left the White House without some of the reporters assigned to travel everywhere with him.

The White House abruptly changed the call time for media to assemble to 8:15 a.m. this morning, and informed them of this change at 8:16 a.m. As a result, Obama left the White House without a handful of the journalists assigned to write dispatches and reports to other reporters. The president traditionally travels with members of the White House press corps at all times.

Fox's Bree Tracey did manage to make the trip as the television pool, and filed a dispatch reporting that the president and first lady went to their daughter's basketball game.

Still, the hastily assembled trip and the email time stamped after the altered call time have some members of the White House press corps privately steaming. And it's not the first time the White House has abandoned the press corps. In April 2010, the president left for one of his daughter's soccer games two hours before the media was supposed to gather.

UPDATE: White House spokesperson Jamie Smith explains to the pool reporter that "the president decided to attend his daughter’s basketball game. The pool was assembled as soon as possible to be there." (207 words)

いかがでしたか。記事本文は207 語なので、これを1分以内に読める読解スピード(=word per minute が200 以上)を目指したいものです。前回記事で取り上げた「情報密度」はさほど高くないようですが、何がどのタイミングで起きたのかが若干把握しづらい内容ではなかったでしょうか。まずニュース記事の鉄則として、第一パラグラフはその記事の「顔見せ段落」ですから、ここはしっかり読みたいところ。「オバマ大統領が“また”記者を連れずに出かけちゃった。(困るねぇ)」というのがメインテーマですよね。すみません、ふざけているつもりは全然なくて、普段自分が馴染んでいる話し言葉で要約する方がアタマに入ってきやすいし、イメージしやすいと個人的に思っているのです。いずれにしても、ここさえしっかり押さえておけば時制を取り違える可能性はずっと低くなるはずです。

"The White House abruptly changed the call time for media to assemble to 8:15 a.m. this morning, and informed them of this change at 8:16 a.m.” この部分に難しい時制表現は見当たりませんが、「8:15 a.m. に変更した集合時間を 8:16 a.m. に伝達したのでは遅すぎた。」というオチを正確に読み取るには、abruptly changed the call time … to 8:15 a.m.(=突然 8時 15分に変更した)と informed … at 8:16 a.m. (=それを 8 時 16分に伝えた)のくだりを理解しなければなりません。私も初見で読んだときは「ん?なになに。あ、1分遅れになったわけね。お役所仕事によくある話かも(笑)」と若干スピードを落とし、少し丁寧に読みました。この記事は長さといい程よい時制の絡み方といい、TOEIC で言うとPart 6 によくあるタイプのパッセージだと思います。たとえば出題されるとしたら空欄になるのはこんな部分?


President Barack Obama again left the White House without some of the reporters assigned to travel everywhere with him.

The White House abruptly changed the call time for media to assemble to 8:15 a.m. this morning, and informed them of this change at 8:16 a.m. (1) _ _ _ _ _ _ _ , Obama left the White House without a handful of the journalists assigned to write dispatches and reports to other reporters. The president traditionally (2) _ _ _ _ _ _ _ with members of the White House press corps at all times.

Fox's Bree Tracey did manage to make the trip as the television pool, and filed a dispatch reporting that the president and first lady went to their daughter's basketball game.

Still, the hastily (3) _ _ _ _ _ _ _ trip and the email time stamped after the altered call time have some members of the White House press corps privately steaming. And it's not the first time the White House has abandoned the press corps. In April 2010, the president left for one of his daughter's soccer games two hours before the media was supposed to gather.

Testing point はそれぞれ(1) 語彙、 (2) 時制、 (3) 品詞・動詞の形 です。(1) 語彙 であれば、なぜここに As a result が入るのでしょうか?またこれ以外に意味の通る単語やフレーズは思いつきますか?また (2) 時制 ではなぜ「現在形」である必要があるのか。(3) 品詞・動詞の形 はなぜassembling ではなく assembled になるのかは大丈夫でしょうか?質問されて初めて「えっ、なんでだろ?」と思った方もいらっしゃると思います。TOEIC で問われるような問題形式になっていなくても、「常に文中の時制に意識し、時間の流れを把握しながら意味を拾って読む(コメントより引用)」トレーニングを日々重ねることが、ある程度の速さを保ちながらも「粗い」読みにならない読解力の養成につながるのではないでしょうか。短い記事で構わないので(むしろ短い記事の方が継続しやすいし精読に向いているはず)、毎日読んでみて下さい。きっと3ヶ月後には前にはなかった「読解筋」がつき始めていると思いますよ。

「じゃあ!」
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生素材活用法2: 情報密度に負けないスキル(改題)

前回記事「生素材活用法(1)」は、短い新聞記事からどれだけ学べるか、どれだけ自分のlearning point を掘りだせるかがメインテーマでした。今回は短くても情報が詰まった記事、単語やフレーズが表す意味の密度が高いセンテンスで構成された記事を読む効果について、考えてみたいと思います。私が思う「短くても情報が詰まった記事」とはどんなパッセージか、以下の記事をご参照ください。2012年1月6日付けThe New York Times Dining & Wine セクションから、日本でも店舗展開しているお洒落高級デリ "Dean & DeLuca” の記事でタイトルは ”Dean & DeLuca Baking Its Own Breads” です。

Nearly 35 years after Dean & DeLuca opened its first shop, on Prince Street in SoHo, this specialty-food chain has made another big leap. It has started baking its own bread, in a kitchen on West 28th Street, instead of selling only a collection of breads from companies like Sullivan Street Bakery and Amy’s Bread. The baker is Louis Volle (shown), a 28-year-old New Yorker who grew up in France and worked at Fauchon before returning to bake bread at Per Se and Bouchon Bakery. He has introduced a basic baguette and a fine round sourdough at Dean & DeLuca, as well as some less-common standouts. In Mr. Volle’s hands, pain de mie, a dense French white bread meant for slicing, has a beautifully fluted crust and is delicious as a stand-in for brioche, with a slab of pate. His dark chestnut bread has a deep earthiness. Several other loaves are studded with fruits and nuts.

As he moves on from the holiday season, Mr. Volle will vary the inventory and soon introduce several loaves flavored with orange zest, candied lemon and other citruses. “I’m trying to keep my breads seasonal, and distinctive from what we usually sell,” he said, adding that breads from other bakeries will still be available. (210 words)

これなんか店舗名を変えたらそのままTOEIC Part 7 の5 問付きシングルパッセージに出てきてもおかしくない(文字量が多くて受験者の不興をかいがちな)article ですよね。語数も210語で、300語以内と言われるPart 7 のパッセージの長さにも合致しています(11月の公開テストに出た「チーズ職人の出世物語」は300語以上だったそうですが)。e-mail やletter など人間同士のコミュニケーションが目的のパッセージは、挨拶を始め定型表現が多く使われるため、文字数に対する情報量で考えると密度が低くなる傾向があります。だからちょっとした読み飛ばしも場合によっては可能。しかし新聞記事は限られた紙面やウェブ画面に情報を詰め込むだけ詰め込もうとしますから、1つの単語やフレーズの持つ情報密度が高い、動詞の活用や前置詞を使って時制を効率的に表す、といった特徴があります。今回の記事でいうとこんな例が。

1)情報密度が高い単語やフレーズ
a. this specialty-food chain has made another big leap. 
specialty-food chain であるDean & DeLucaは高級志向の店なのか。has made another big leap だから「大きく進歩」したわけね。”another (また別の)” とあるからDean & DeLucaはわりと革新的な店舗?

b. His dark chestnut bread has a deep earthiness. 
earthiness=土っぽさ。素朴さ。お洒落な茶色っぽい健康志向のパン?

c. Mr. Volle will vary the inventory 
パンの品揃えをテコ入れするつもりなんだな。

d. he said, adding that breads from other bakeries will still be available 
でもよそのベーカリーからの入荷を止めるわけじゃないんだ。


2) 動詞の活用や前置詞で表す時制
The baker is Louis Volle (shown), a 28-year-old New Yorker who grew up in France and worked at Fauchon before returning to bake bread at Per Se and Bouchon Bakery.

Fauchonで働くのと、Per Se および Bouchon Bakery でパンを焼くのはどちらが先に起こった出来事なのか。文頭から読み進めていくと「Louis Volleがフランスで生まれてFauchon で働いていた」ことが分かります。before returning(=戻ってくる前に)の登場で、Fauchon で働いていたのが先、そして before returning のあとに続く"to bake bread at Per Se and Bouchon Bakery" という行為はそれより後に起こったことが分かります。パッセージを読んでいる時は大丈夫でも、TOEICのようなテストで正解の選択肢を選ぶとなると、出来事の前後関係を取り違えそう。

こうした情報の詰まった、単語やフレーズが表す意味の密度が高いセンテンスで構成された「生素材」を丁寧に・正確に読む練習を日頃からしていれば、細部に注意を払いながらも、ある程度のスピードを保って英文を読めるようになるはずです。もちろん一回ざっと目を通して終わりではなく、「知らない単語やフレーズは調べる。腑に落ちない部分は読み返して、知っている思う単語も調べなおす(特に動詞)」といった精読プロセスが大切です。200語前後の短めの記事であれば、このような丁寧な精読でも慣れてくれば20分前後で出来るはずです。この「短さ」は案外ポイントかも。以下のサイトに掲載されている記事の多くは「短く」「情報量の詰まった」「毎日できる」のキーワードに合うと思います。ご参考までに。(このテーマの記事は続きます)

The New York Times: World Briefing
(Twitterのアカウント@nytimesworld)
Newsweek: The Daily Beast
(Twitterのアカウント@thedailybeast)
Gawker
(Twitterのアカウント@Gawker)

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